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金利上昇による住宅ローンへの影響は?
選ぶなら変動金利?固定金利?

金利上昇による住宅ローンへの影響は?選ぶなら変動金利?固定金利?

更新日:2024年5月

日銀は2024年3月19日の金融政策決定会合で、2016年から継続していた「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」及び「マイナス金利政策」を解除しました。これにより、政策金利を「マイナス0.1%」から「0~0.1%」に引き上げ、長期金利を抑えるための国債買い入れ策については「0%程度」などの数値目標がなくなりました。
「マイナス金利解除」は利上げを意味します。長期金利は買い入れ策が継続されるものの、価格形成はある程度市場に委ねられる形になりました。
日銀による利上げのニュースを聞いた人は、「これから住宅ローンの金利も上昇するの?」と心配しているかもしれません。
本記事執筆時点の2024年5月時点の住宅ローン金利を見ると、民間金融機関の多くは変動金利を低い水準のまま据え置いていて、住宅購入者にとってはまだまだ魅力的な水準だといえます。
また、固定金利は、長期金利の影響を受けるため、すでに「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の解除前から徐々に上昇していて、状況が大きく変わったというわけではありません。
今回は住宅ローンの変動金利と固定金利について、それぞれの金利タイプの特徴や将来金利が上昇した場合の影響・対処方法を解説します。

変動金利・固定金利の特徴

変動金利と固定金利の特徴は以下のとおりです。留意点も記載しています。

特徴 留意点
変動金利 固定金利より利率が低い。
金利上昇局面での金利の上昇スピードは固定金利より遅い。
固定金利に変更可能。
金利が上がると利払いが増加し毎月の返済額が増加する。
固定金利 固定金利適用期間中は金利が変わらないため、金利上昇リスクがない。 固定金利適用期間中はプランの変更ができない。
途中で金利が変わる商品もある。

(出典)筆者作成
(注)上記は一般的な例です。金融機関によって商品性は異なります。

変動金利は、借りた後に金利が上がってしまう可能性があるため、長期的な目線を持ち、ある程度の金利上昇を見込んで借入額を決定する必要があります。
固定金利は、金利の変動リスクがないという安心感があります。しかし、借り入れ当初は変動金利よりも高い金利が設定されているのが一般的です。もし金利が全く上がらなければ、変動金利よりも不利な支払いをしていた、ということになります。
また、当初固定金利タイプの場合は、固定金利期間が終了する際に金利プランを選択する必要があります。

住宅ローン金利の決まり方

まず、下記の図をご覧ください。住宅ローンの借り入れ金利は、基準金利から引下げ幅を引くことで決まります。

<住宅ローン金利の仕組み>

引下げ幅は、金融機関同士の金利競争によって拡大が続き高止まり傾向です。近年、特に変動金利の借入金利は金融業界で低下傾向が続いたことで、年0.5%以下の金利を提示する金融機関はめずらしくなくなりました。そしてその傾向は、マイナス金利解除後の2024年5月現在でも同じです。

基準金利については、変動金利は「日銀の金融政策」に、固定金利は「10年もの国債の金利(長期金利)」にそれぞれ影響を受けるといわれています。

変動金利の決まり方

変動金利型の住宅ローンの基準金利は、一般的に「短期プライムレート」と呼ばれる、銀行が融資に問題がないと判断した信用力の高い企業に融資をする際に適用される金利(期間1年以内)を参照し決定されるといわれています。短期プライムレートは、日銀の政策金利の影響を受けます。

下記は、2023年1月から2024年5月までの短期プライムレートと政策金利の推移です。

政策金利と短期プライムレートの推移

(出典)日本銀行 「長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降」より筆者作成

マイナス金利政策が継続されている中では、短期プライムレートも動かず低位で安定していたことがわかります。

本記事執筆時点(2024年5月)では、政策金利は上昇したものの、短期プライムレートの変動は見られていません。今後については、「政策金利が上がり続けるのか?」「政策金利が上がった際には短期プライムレートは上がるのか?」ということに注目です。

固定金利の決まり方

固定金利型の住宅ローンの基準金利は、一般的に「長期プライムレート」と呼ばれる、銀行が融資に問題がないと判断した信用力の高い企業に融資をする際に適用される金利(期間1年以上)を参照し決定されるといわれています。長期プライムレートは、長期金利といわれる10年もの国債金利の影響を受けます。

下記は10年もの国債金利と長期プライムレートを並べたものです。国債の金利と長期プライムレートは連動していることがわかります。

10年もの国債金利と長期プライムレート推移

(出典)日本銀行 「長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降」、財務省国債金利情報より筆者作成

固定金利で住宅ローンを借りようと考えている人は、10年もの国債金利の動向と毎月の固定金利の傾向をチェックしましょう。

住宅ローンの金利が上昇するのはどんな時?

住宅ローンの借入金利が上昇する理由は、基準金利の要因と引下げ幅の要因に分けられます。一般的に、変動金利で借りた場合は、引下げ幅は全期間において変更されない場合が多くなっています。もし借入金利が上がるとしたら、基準金利が上がったときです。

固定金利は定められた期間中は金利が上がることはありません。全期間固定金利タイプの住宅ローンであれば、引下げ幅が返済中に変更になることはありません。仮に長期金利が大きく上昇したとしても、既に返済を開始している人の基準金利は変わりません。

しかし、当初固定金利タイプで借りる方は注意が必要です。当初固定金利タイプは、当初借入金利適用期間中は、大幅な引下げ幅が適用されます。しかし、当初借入金利適用期間が終了した後は、引下げ幅の優遇が縮小されます。さらに、もしその時に基準金利が上昇していたら、上がってしまった基準金利を基に借入金利を計算することになります。金利上昇時に当初固定金利タイプで借入をすると、当初借入金利適用期間終了時に、引下げ幅の縮小と基準金利の上昇といった2つの借入金利の上昇要因が重なり、毎月の返済額が急上昇してしまうことがあるので注意が必要です。当初固定金利タイプを借りる方は、当初借入金利適用期間後の引下げ幅をよく確認しておきましょう。

では、次からは、金利が上昇したらどれくらい毎月の返済額が上昇してしまうのかを見てみます。

金利上昇は住宅ローンの返済にどう影響する?

住宅ローンの金利タイプの選択では、金利が上昇した場合に返済額がどう変化するかを想定し、対処法を事前に準備しておくことが非常に大切です。まず、金利が上昇した際に、毎月の返済額がどう変化するかを見てみましょう。

<借り入れ条件> (仮定の条件で試算)

借入額 3,000万円 借入期間35年 元利均等返済、ボーナス返済なし

変動金利 1~10年目:0.45%
11~35年目:1.45%
当初固定金利タイプ10年 1~10年目:1.0%
11~35年目:1.65%
全期間固定金利タイプ 35年固定 1.50%
1~10年目 11~35年目 総返済額
変動金利 77,214円 87,015円 35,340,782円
当初固定金利タイプ10年 84,685円 91,450円 37,576,966円
全期間固定金利タイプ 91,855円 91,855円 38,610,217円
  • 保証料や融資手数料、団信などのコストは勘案せず。
  • いずれも試算は概算で、実際の借入時の返済金額を保証するものではありません。
  • 返済額の試算は、SBI新生銀行の住宅ローンシミュレーションツールを利用して算出
  • 金利条件は筆者が任意に設定

上記の表から、変動金利は当初の金利が低いため、固定金利を追い抜くまでに一定の幅があることがわかります。仮に1%程度の金利上昇があったとしても、この例の場合は、変動金利の方が、当初固定金利タイプや全期間固定金利タイプを選択するよりも、総返済額は少ないことがわかります。

上記の例は、お借り入れから10年後に住宅ローン金利が年1%上昇した場合を想定しています。もし金利が2%ないしは3%上昇した場合は、毎月の返済額は固定金利プランを超えるでしょう。「金利が低い変動金利を選びたいけど、金利上昇リスクが気になる」という方は、住宅ローンシミュレーションでさまざまなパターンを計算してみましょう。仮に相当な金利の引き上げがあった場合でも返済可能な借入額であれば、問題はありません。重要なことは、今だけでなく将来を見据えて無理のない金額で借りることです。

SBI新生銀行では便利なシミュレーションツールをご用意しております。

住宅ローンシミュレーションは
こちら!

では、次は金利が上がってしまった場合の対応方法を紹介します。

住宅ローンの金利上昇に対応する方法は?

「すでに住宅ローンを借りているので金利上昇が不安」「これから住宅ローンを借りる予定なので、先行きが不安」という人のために、金利上昇に対応する方法をご紹介します。

景気動向や日銀の経済政策をチェックする

第一に金利の動向を見定めるために、景気や日銀の金融政策の内容はチェックしましょう。日銀は1月、3月、4月、6月、7月、9月、10月、12月に金融政策決定会合を開きます。そこで最新の金融政策を発表すると同時に、景気の見通しも解説します。景気と金利の状況を知るためにも、本会合のニュースは確認しておくことをおすすめします。

国や自治体の金利優遇制度を活用する

住宅ローン金利の上昇は国の経済に悪影響です。金利の支払いで困窮する人が増えれば、消費が減少し、経済が停滞してしまう可能性があるからです。
例えば、令和5年度の補正予算では、住宅金融支援機構が提供する【フラット35】に、子育て世帯を優遇する「子育てプラス」が拡充されることが決まりました。このような制度情報は確認しておくようにしましょう。

借入額を減らして借入期間を短くする

住宅ローンの支払い金利は、「利率」と「借入額(残債)」と「借入期間」で決まります。この原理から、これから住宅ローンを組む人は、「借入額をなるべく少ない金額にする」「なるべく早く返済する」という返済プランを組んでおくと安心です。
ただ、借り入れ期間は後から延ばすことはできないため、なるべく長い期間で借り、期間短縮型の繰上返済で返済期間を短くする方法が安全です。

繰上返済を活用する

期間短縮型の繰上返済によって残債を減らし、借入期間を短くすることは、「借入額の減少」と「借入期間の短縮」の2つの効果が得られるため、支払い利息を減らす有効な方法です。

借り換えを検討する

金利を下げる方法の1つとして、「借り換え」があります。一般的に、同じ金融機関内の金利プランの変更では金利が下がらない傾向があります。住宅ローンは借入当初に金利が優遇される設計になっている場合が多いからです。金利を下げたい場合は、より低い金融機関への借り換えを検討しましょう。ただ、借り換えの際には、事務手数料や登記関連費用等の諸費用が借り換える都度発生することには注意が必要です。SBI新生銀行のような、定額型の手数料方式がある金融機関だと、借り換えのコストが計算しやすいので検討が進みやすいでしょう。オンライン相談や住宅ローンシミュレーションの活用もおすすめです。

固定金利に変更する

変動金利の上昇りスクを抑える最も効果的な方法が固定金利に変更することです。変更当初は金利が上がるため、返済額も増加しますが、リスクを抑えるための費用と割り切る考え方もあります。

家計の支出が不安定な人は、長期間金利を固定するタイプ(長期固定金利タイプ)もおすすめ!

借入期間が30~35年の、長期間金利を固定するタイプは、金利の見直しがしばらくありません。そのため、将来、金利が上昇すると考えている人に向いている金利タイプです。また、家計から出ていく金額の予定が立てやすいため、教育費など、ある程度の金額を長期間支払う予定がある方は長期固定金利タイプの選択を検討する価値があります。

また、貯蓄があると万が一の際の変化にも対応しやすくなるため、長期固定金利タイプで毎月の返済額を一定にし、住宅ローン返済をしながら貯蓄ができるような資金計画づくりも検討してみてください。

住宅ローンの固定金利についてはこちらの記事もご覧ください。

金利プランの選択についてはこちらの記事もご覧ください。

金融機関の金利優遇サービスの有無も要確認

金融機関によっては、住宅ローン金利に優遇を設けている場合もあります。たとえばSBI新生銀行では以下のような金利優遇があります。

対象 条件 対象商品
これから住宅を購入する人 自己資金10%以上で借入金利を年0.05%優遇
  • 新規借入のみ
パワースマート住宅ローン
  • 当初固定金利タイプ
  • 長期固定金利タイプ
  • 優遇の対象は、当初借入金利のみです。当初借入金利適用期間終了後、金利の優遇は終了します。
ZEH住宅を購入する人 借入金利年0.01%優遇
  • 新規借入のみ
パワースマート住宅ローン

自己資金10%以上、新規購入0.05%金利優遇の詳細はこちら

<ZEH住宅限定>住宅ローン金利優遇プログラム詳細はこちら

金利が上昇した時の影響も考慮して住宅ローンを検討しよう

住宅は衣食住の1つであり、生きていくために必要なものであることはいうまでもありません。そういった意味では、金利の上昇の可能性があるからといって「家を買わない」という選択をしてしまうと、マイホームを保有することはどんどん先延ばしになってしまいます。
住宅ローンは25年~35年程度の長期間で返済するローン商品であり、その間に金利が変動することは、ある程度は当然のことと割り切ることも大切です。

重要なことは、金利が上がったとしても返済が継続できる程度の借入額と返済期間を設定しておくことです。SBI新生銀行のウェブサイトには住宅ローンシミュレーションが備えられています。またオンライン個別相談も提供されているので、不安な人は活用してみましょう。

最新の住宅ローン金利一覧はこちら WEBで完了!審査お申込はこちら

(出典・参考)
2016年1月29日 日本銀行 「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入2016年9月21日 日本銀行 金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」日本銀行 金融経済統計月報 金融1
財務省 国債金利情報
SBI新生銀行パワースマート住宅ローン金利一覧

執筆者
遠藤様

遠藤功二

えんどう こうじ

  • CFP(R)
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

本稿は、執筆者が制作したもので、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。

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当行では具体的な税額の計算、および、税務申告書類作成にかかる相談業務はおこなっておりません。個別の取り扱いについては、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご確認ください。

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  • 借入期間は5年以上35年以内(1年単位)、借入金額は500万円以上3億円以下(10万円単位)です。
  • 変動金利(半年型)、当初固定金利をご選択された方は、当初借入金利適用期間終了後、ご契約時の事務手数料に応じた変動金利(半年型)が自動適用となります。
  • 変動金利(半年型)、当初固定金利を利用されている方は、金利変更時に当初固定金利タイプをご選択いただくことも可能です。ご選択にあたっては、手数料5,500円(消費税込み)がかかります。
  • 各金利タイプは、金利情勢等により、やむを得ずお取り扱いを中止する場合もございます。
  • SBI新生銀行ウェブサイトにて、借入金額や借入期間に応じた毎月の返済額を試算できます。
  • 事務手数料は、定額型をご選択された場合55,000円(消費税込み)、定率型をご選択された場合、借入金額に対して2.2%(消費税込み)を乗じた金額となります。それ以外に抵当権設定登録免許税、印紙税*、司法書士報酬、火災保険料等がかかります。*電子契約サービスをご利用の場合、印紙税は不要ですが、別途電子契約利用手数料5,500円(消費税込み)がかかります。
  • ご融資の対象物件となる土地、建物に、当行を第一順位の抵当権者とする抵当権を設定いただきます。
  • 当行の住宅ローンを既にご利用中のお客さまにつきましては、当行で借り換えをすることができません。
  • 住宅ローンのご融資には当行所定の審査がございます。審査結果によっては、表示金利に年0.10%~年0.15%上乗せになる場合がございます。ご希望にそえない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

[2024年1月22日現在]