「マイナス金利」を活かす。あなたの住宅ローンにも借り換えメリットが?
マイナス金利政策導入を受けて、各金融機関は軒並み住宅ローン金利を引き下げ。
2016年1月29日に日銀がマイナス金利政策の導入を決定すると長期金利の利回りが低下。これを受けて金融機関は軒並み住宅ローンの金利を引き下げました。
3月の一部金融機関の住宅ローンでは10年固定金利型が0.5%台まで、フラット35では最頻金利で1.25%(21年以上35年以下、融資率9割以下(頭金が1割以上の場合)と史上最低水準に低下しています。ここまで金利が下がってくると、今まで借り換えメリットが少なった方にも、借り換えを検討する余地が生まれてきそうです。
マイナス金利政策で借り換えが急増? 他人事と思っている方も、再度確認してみては?
先日の新聞報道では、三菱東京UFJ銀行をのぞく主要8行(三井住友、みずほ、りそな、三井住友信託、SBI新生、住信SBI、ソニー、イオン)では、2月の借り換え申込件数は約2万8千件と、前年同月比2.5倍、1月と比較すると4倍に増えているそうです。
マイナス金利導入前は、借り換えのメリットが期待できるのは、おおよそ「金利差1%以上」「借入残期間10年以上」「借入残高1,000万円以上」といわれていました。
しかし、今回の一段の住宅ローン金利の低下を受けて、上記の条件をすべてみたさなくても、借入期間や借入残高によっては、借り換えによって、総返済金額が大幅に減額となる場合や、毎月の返済額を1~2万円でも減額できる場合も出てきていますので、これまで「借り換えは他人事」と思っていた方も、この機会にもう一度、再確認、試算をしてみてはいかがですか?
借り換えの目的、期待する効果をはっきりさせることが大切
主に借り換えの目的は、「月の返済額はそのまま・返済期間の短縮をはかる」場合、あるいは「返済期間はそのまま・月の返済額の軽減をはかる」場合がほとんどだと思いますが、「金利上昇リスクをより長く抑える(もしくは小さくしたい)」ことも可能です。
借り換えを検討する場合は、借り換え目的、期待する効果をはっきりさせて、期待する効果を得られるかどうか、ポイントをしぼって試算したほうが良いでしょう。
ここからは、借り換えメリットについて、例を挙げて確認していきましょう。
その1)総返済負担額を減額できるケース
少し応用編となりますが、フラット35からフラット35への借り換えの事例を紹介します。通常、同じ金融機関での借り換えはできませんが、フラット35だけは例外で、同じ金融機関でも借り換えが可能です。具体的に見てみましょう。
・5年前にフラット35で借り入れ、5年(60月)返済後にフラット35に借り換え
<現在の住宅ローン>
当初借入金額 | 3,000万円 |
---|---|
当初借入期間 | 30年 |
金利(全期間固定) | 2% |
ローン残高 | 約2,616万円 |
月返済額 | 110,885円 |
残りの支払金額 | 約3,326万円 |
<借り換え後の住宅ローン>
借換金額 | 2,616万円 |
---|---|
借入期間(残期間) | 25年 |
金利(全期間固定) | 1.25% |
月返済額 | 101,578円 |
残りの支払金額 | 約3,047万円 |
融資手数料含諸費用 | 76.50万円 |
諸費用を含めた軽減額 | 約203万円 |
- 元利均等返済方式、ボーナス返済なし。
「融資手数料含諸費用(76.50万円)」は、借り換え先の住宅ローンの融資手数料(借入金額×2.16%=565,056円)+印紙税20,000円+登録免許税(抵当権設定)105,000円+登録免許税(抵当権抹消)15,000円+司法書士報酬60,000円=765,056円
このケースでは、残りの支払い金額が、約279万円少なくなり(約3,326万円-約3,047万円)、諸費用の76.5万円を支払っても約203万円総返済額を軽減する効果が見込めます。
その2)借り換えで、固定金利の期間を長くし金利変動リスクを抑える
・7年前にA銀行の当初10年固定金利で借り入れ。B銀行の固定金利期間選択型に借り換える
<現在の住宅ローン>
当初借入金額 | 3,000万円 |
---|---|
当初借入期間 | 30年 |
金利(当初10年固定) | 2.2% |
ローン残高 | 約2,465万円 |
月返済額 | 113,910円 |
残りの支払金額 | 約3,220万円 |
<借り換え後の住宅ローン>
借換金額 | 2,470万円 |
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借入期間(残期間) | 23年 |
金利(全期間固定) | 1.1% |
月返済額 | 101,331円 |
残りの支払金額 | 約2,938万円 |
諸費用合計額 | 30.68万円 |
諸費用を含めた軽減額 | 約252万円 |
- それぞれ、当初固定金利期間が終了した後の金利は2.5%と仮定。
- 元利均等返済方式、ボーナス返済なし。「諸費用合計額(合計306,800円)」は、借り換え先の住宅ローンの事務手数料:108,000円、抵当権設定登録免許税98,800円、司法書士報酬80,000円、印紙税20,000円として試算。なお、団体信用生命保険料は銀行負担であるケースが多いため、考慮せず。
このケースでは、借り換えにより、金利の変動リスクを抑えた期間を長くでき、また月々の返済額の軽減が可能になりました。軽減できる毎月の返済額を繰上げ返済に回して、さらに利息軽減を図る方法もありそうです。
なお、あくまでも今回の試算は現在のような低金利状況が今後も続いたら、という条件つきですので、将来金利が上昇した場合でも無理なく返済していけるかは事前に確認をしておくことも忘れずに!
借り換えでは、諸費用のチェックも忘れずに!
借り換えの諸費用には、どの金融機関で借り換えてもかかる「金銭消費貸借契約書の印紙税、抵当権を設定、抹消するための登録免許税、司法書士への報酬」、金融機関によって異なる「保証料、事務(融資)手数料、団体信用生命保険料(任意の場合)」などがかかります。借り換えのメリットは、金利だけではなくこれらの諸費用を含めて総合的に判断することが大切です。
たとえば、前段の(1)の例では、残支払額は約279万円減額されますが(現在の残りの支払い金額約3,326万円-借り換え後の残りの支払い金額約3,047万円)、諸費用を含めて考えると減額は約203万円となります。なお、諸費用を現金で負担するケースでは一時的に手続き時に手元資金が減ることにもなります。現金負担による諸費用が多くかかる場合には、諸費用分を繰上げ返済に回した方が、結果的にメリットが出るケースもあるので注意したいものです。
なお、民間金融機関で、借入当時、保証料を一括払いしているケースでは、借り換え時に先払いした保証料の一部が戻ってくる場合があります。前段(1)のように、諸費用が少ない金融機関に借り換えをすれば、諸費用を戻り保証料でまかなえるケースもあります。しっかりチェックしておきましょう。
また、住宅ローンで実際に適用される金利は、申込み時点ではなく「融資実行時点」または「契約書締結時点」の金利となります。実際に適用される金利が予定をしていた金利と変わる可能性もあるので、その点も含めて、借り換え申込みの準備を進めることも大切です。まずは、自分の場合にはどの程度メリットが期待できるのか、金融機関の窓口に足を運んでみてはいかがでしょう。
- 本稿の内容は2016年3月の情報をもとに作成したものです。
- フィナンシャルプランナー
千春コンサルティング事務所代表。約9年間の銀行窓口経験を経て2004年よりFPとして独立。文京区民向けのライフプランセミナー、国家公務員共済組合主催の住宅ローンフェア講師、住宅展示場での住宅ローンセミナーやローン相談、宅建資格講座の講師、企業のDCセミナー、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ということのないようにという観点から、幅広い分野で活動中。
株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。
本稿は、執筆者が制作したもので、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。
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[2024年1月22日現在]