固定金利20年の住宅ローン!低金利を長期固定できる安心感が魅力

住宅ローンの金利は大きく、変動金利と固定金利に分かれます。
今、日本の住宅ローンは変動金利を中心に低金利が続いているので、変動金利を選ぶ人が大半を占めていると言われています。例えば、住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査(2021年4月調査)」よると、変動金利の利用者は全体の約68%に及びます。これは変動金利が固定金利よりも金利が低いためと思われます。
残りの約32%の方が選択している固定金利には固定期間選択型と全期間固定型の2種類があり、固定期間選択型の利用者が約21%、全期間固定型の利用者は約11%になっています。
固定期間選択型の利用者のうち、約42%の方が10年超の期間を選択しており、比較的長い期間の金利を固定することにニーズがあることが伺えます。
このコラムでは固定金利の中でも比較的当初の固定金利期間が長い固定20年の住宅ローンについて商品性を解説します。
<住宅ローン利用者が利用した金利タイプ(2020年10月〜2021年3月)>

<固定期間選択型(当初の金利固定期間)>

住宅金融支援機構 住宅ローン利用者の実態調査(2021年4月調査)
を元に筆者作成、整数未満は四捨五入
目次
固定20年の住宅ローンの種類
固定金利は変動金利よりは金利は高くなってしまうものの、金利上昇リスクがないので返済計画が立てやすいというメリットがあります。特に子育て世帯にとっては、子供の教育費用が上昇する時期に、金利が上昇してしまう心配がないのは大きな利点です。
固定金利20年の住宅ローンには以下の2種類があります。
- 固定期間選択型:借入期間は20年超だが当初20年間は金利が固定されているタイプ
- 全期間固定型:借入期間が20年で全期間の金利が固定されているタイプ
固定期間選択型(当初20年固定金利タイプ)はどのような商品?
固定期間選択型の借入期間は最長35年とされているのが一般的ですが、返済期間のうち当初20年間の金利が比較的優遇された金利で固定されています。
固定期間選択型(当初20年固定金利タイプ)のメリットとデメリットは以下の通りです。
<固定期間選択型(当初20年固定金利タイプ)のメリット>
- 当初20年の金利は全期間固定型より低い傾向がある
- 20年間は金利上昇リスクがない
<固定期間選択型(当初20年固定金利タイプ)のデメリット>
- 当初20年の期間終了時に基準金利が上昇している可能性がある
- 当初20年の期間終了後に金融機関の金利引き下げ幅が小さくなり借入金利が上昇することが多い
基準金利、借入金利、引き下げ幅とは?
住宅ローンの金利には基準金利と借入金利があります。
基準金利は、住宅ローンの借入金利の元となる金利です。固定金利の基準金利は日本の国債の金利の影響を受けるといわれています。
そして、借入金利は基準金利から金融機関が引き下げした後の金利です。
固定期間選択型(当初20年固定金利タイプ)の場合は、当初20年間は金利引き下げ幅が比較的優遇された条件になっています。しかし、20年の固定金利期間が過ぎると優遇幅が小さくなり、基準金利が同じでも借入金利が高くなる場合があります。
そのため下記の図表の通り、当初20年間は返済金額が低めであり、20年経過後の残りの15年間は金利が上がってしまう場合があります。
<固定期間選択型(当初20年固定金利タイプ)の借入金利の変動イメージ>

<返済金額の計算例>
前提条件
借入金額:3,000万円、借入期間:35年、金利:筆者が仮条件として設定
借入額 | 3,000万円 |
金利(当初20年) | 0.85% |
金利(当初後15年) | 1.25% |
返済期間 | 35年 |
毎月返済額(当初20年) | 82,605円 |
毎月返済額(当初後15年) | 85,052円 |
利息 | 5,131,854円 |
総支払額 | 35,131,854円 |
(筆者作成)
20年後の金利上昇を見越した対策
変動金利は金利変動リスクがデメリットではありますが、固定金利よりも利率が低い傾向があります。
20年経過後は変動金利を選択することで相対的に低い金利を維持できる可能性があります。
例えば、子育て期間中の当初20年間は固定金利にし、20年後以降は教育資金の支払いがひと段落しているはずだから変動金利に変更する、といったような計画は有効かもしれません。
また、金利が低い当初20年間のうちに期間短縮型の繰上げ返済を積極的に行うことで、20年後移行の期間を短くしておくことも有効です。
全期間固定型(期間20年)はどんな商品?
全期間固定型は商品性がシンプルです。住宅金融支援機構のフラット20が代表的な商品といえます。全期間固定型には次のメリット・デメリットがあります。
<全期間固定型(20年)のメリット>
- 20年超の長期の住宅ローンよりも金利が低い
- 20年超の借入期間が年齢を理由に利用できない方でも対象になる
<全期間固定型(20年)のデメリット>
- 借入額が同じであれば、20年超の住宅ローンよりも毎月の返済額が大きくなる
- 20年超の住宅ローンよりも借入可能額が少なくなる
固定期間選択型(当初20年固定金利タイプ)のシミュレーションと同額の借入額で全期間固定型の住宅ローンを組んだ場合のイメージと返済額の計算例を下記に記載します。
<全期間固定型(20年)の借入金利のイメージ>

<返済金額の試算>
借入金額:3,000万円、借入期間:20年、金利:筆者が仮条件として設定
借入額 | 3,000万円 |
金利 | 1.15% |
返済期間 | 20年 |
毎月返済額 | 139,985円 |
利息 | 3,596,321円 |
総支払額 | 33,596,321円 |
(筆者作成)
もし同じ金額を全期間固定型(35年)で借りた場合の総返済額は、上記の全期間固定型(20年)の場合よりも高くなってしまいます。なぜなら、借入期間が長くなるほど一般的に金利は上がってしまいますし、返済額が長い分金利の支払い額も増えてしまうからです。
全期間固定型(35年)の借入金利を全期間固定型(20年)よりも若干高い1.28%と仮定して返済シミュレーションをすると下記の通りになります。
<全期間固定型(35年)の借入金利のイメージ>

<返済金額の試算>
借入金額:3,000万円、借入期間:35年、金利:筆者が仮条件として設定
借入額 | 3,000万円 |
金利 | 1.28% |
返済期間 | 35年 |
毎月返済額 | 88,657円 |
利息 | 7,235,640円 |
総支払額 | 37,235,640円 |
(筆者作成)
総支払額は全期間固定型(20年)のケースより約360万円増加していますが、毎月の返済額は5万円以上少ないことになります。
総返済額を重視するか、毎月の返済額を重視するかで金利と期間を選択すると良いでしょう。
固定期間選択型(当初20年固定金利タイプ)は検討の余地あり
20年固定金利の住宅ローンの中でも、固定期間選択型(当初20年固定金利タイプ)は固定金利の安心感と、低金利、そして借入期間を35年に設定することで毎月の返済額を抑えられるという利点を兼ね揃えているとも考えられます。
住宅ローン控除の制度を含めて検討する
住宅ローン控除は消費税が10%に増税したことと新型コロナ感染症の広がりが経済に与える影響を鑑みて、一定の条件を満たした方は税額控除を本来の10年間ではなく13年間利用することができます。
<住宅ローン控除の条件(13年間適用のケース)>
契約期間 | 入居期間 | |
注文住宅取得の場合 | 2020年10月〜2021年9月末までに契約 | 2022年末までに入居 |
分譲住宅などを取得の場合 | 2020年12月〜2021年11月末までに契約 | |
税額控除の内容 | ||
【1〜10年目】年末時点の住宅ローン残高(※)×1% 【11年目〜13年目】(1)(2)のいずれか少ない額
一般住宅の場合480万円、認定住宅の場合600万円 |
- 全ての住宅購入者に上記条件が適用されるわけではありません。適用条件の詳細は国税庁ウェブサイトをご覧ください。
(出典)国税庁ホームページNo.1213 認定住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)を元に筆者作成
住宅ローン控除を13年分できるだけ利用したいと考える方は、仮に手元資金に余裕がある場合でも繰上げ返済はせず、長期の返済計画にします。そのような方にとっては長期間金利の引き下げ幅が大きくなっている固定期間選択型の固定20年タイプが魅力的だといえます。
今後の税制改正を考慮して検討する
近年住宅ローン控除額が住宅ローン支払利息額よりも大きいことが問題視されており、2022年の税制改正で住宅ローン控除の内容が大きく変わることになりました。
(2021年12月24日に税制改正大綱が閣議決定されています)改正が議論されるようになった理由は、住宅ローン控除額が残債の1%であるにも関わらず、多くの金融機関の住宅ローンの利率が年1%を下回っており、逆ざや状態になっているからです。このことから一般的に住宅ローン控除の1%部分が引き下げられる可能性や、住宅ローンの支払利息額が少ない方は相応に住宅ローン控除の適用額も下がってしまう制度になる可能性があります。
固定金利のデメリットは変動金利よりも金利が高い傾向があることです。しかし、住宅ローン控除の改正内容次第では金利が高い方ほど住宅ローン控除の適用額が大きくなり、その恩恵がデメリットを多少相殺する可能性があります。住宅ローン控除の税制改正内容次第では固定20年タイプの住宅ローンの利点が増す可能性があるということです。
- 本稿の内容は2022年1月時点の情報に基づきます。

えんどう こうじ
- CFPR
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
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パワースマート住宅ローンについて
- 借入期間は5年以上35年以内(1年単位)、借入金額は500万円以上3億円以下(10万円単位)です。
- 変動金利(半年型)タイプ、変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>は当初借入金利適用期間終了後、お客さまからのお申し出がない限り、ご契約時にご選択いただいた変動金利タイプが継続して適用となります。
- 当初固定金利タイプは当初借入金利適用期間終了後、お客さまからのお申し出がない限り、自動的に変動金利(半年型)タイプが適用となります。
- 変動金利(半年型)タイプ、変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>、当初固定金利タイプを利用されている方は、金利変更時に当初固定金利タイプをご選択いただくことも可能です。ご選択にあたっては、手数料5,500円(消費税込み)がかかります。
- 各金利タイプは、金利情勢等により、やむを得ずお取り扱いを中止する場合もございます。
- SBI新生銀行ウェブサイトにて、借入金額や借入期間に応じた毎月の返済額を試算できます。
- 事務取扱手数料は安心パックをお申し込みの場合110,000円(消費税込み)、お申し込みされない場合55,000円(消費税込み)、変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>をご選択の場合、借入金額に対して2.2%(消費税込み)を乗じた金額となります。それ以外に抵当権設定登録免許税、印紙税*、司法書士報酬、火災保険料等がかかります。*電子契約サービスをご利用の場合、印紙税は不要ですが、別途電子契約利用手数料5,500円(消費税込み)がかかります。
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[2023年8月25日現在]