住宅ローンの事前審査・仮審査、そして本審査で気を付けることとは?

住宅ローンの契約をするには金融機関の審査に通過する必要があります。一般的に、住宅ローンの審査は2段階に分かれていて、本審査の前に事前審査や仮審査と呼ばれる審査があり、それらに通過した人だけが本審査に進むことができます。
事前審査や仮審査、そして本審査ではどのような点を見られるのでしょうか。住宅ローンの審査について詳しく解説していきます。
目次
住宅ローンの事前審査・仮審査とは?本審査との違いは?
住宅ローンの事前審査・仮審査は、本審査の前におこなう簡易的な審査です。仮審査で通る可能性が低いことがわかっていれば、顧客も金融機関も、お互いに本審査にかける労力を抑えることができます。
金融機関によっては、仮審査ではほとんど書類の提出が必要なく、申込者の入力内容だけで審査が進む場合があります。
このようにいうと、「虚偽の申告をして、仮審査に通ってしまうことはないの?」という疑問を持つ人がいると思います。たしかに、虚偽の申告をして審査にとおることはできるかもしれません。しかし、金融機関は本審査の際に、提出書類によって仮審査の申告内容が正しいものがどうかを確認します。
たとえば、仮審査で収入を過大に申告していた場合、本審査で収入関連書類をチェックした際に、誤りがわかるということです。
多くの人が「年収」などの審査に必要な情報は、源泉徴収票などの収入関連書類を見なくてもおおよその金額を把握しているものです。事前審査・仮審査をおこなうことで「せっかく書類を集めたのに、審査に通らなかった」という労力の浪費を防ぐ効果があります。

住宅ローンの事前審査や仮審査で何を見られる?
事前審査・仮審査の申し込みフォームまたは、申し込み用紙を見てみると、さまざまな記入項目があります。記入項目の中でも重視されるのはどの項目なのでしょうか。
ここで、民間住宅ローンの実態に関する調査結果を基に、住宅ローンの審査で重視される上位項目をグラフにしてみました。事前審査・仮審査では、これらの上位項目が重視される可能性が高いといえます。

(出典)「国土交通省 住宅局 令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」を基に筆者作成
上記には、主に本審査時に見られる項目も含まれているため、ここでは事前審査・仮審査時点でチェックされやすい事項に絞って解説します。
完済時年齢は、繰上返済をしなかった場合の最終返済時の年齢のことです。50歳の人が30年ローンを借りたら、完済時年齢は80歳になります。
年収は、手取りではなく額面のことです。源泉徴収票でいうと「支払金額」に記載されている金額です。
返済負担率は、年収に占める年間返済額の割合のことです。この割合が高いと、返済が滞る可能性も高くなってしまうといえます。
事前審査・仮審査を受けるための注意点・通過するためにできること
事前審査・仮審査を受ける際には、有効期間を確認しておきましょう。金融機関によって、2~3ヵ月程度のところもあれば、半年以上としているところもあります。購入をまだ真剣に考えておらず、「なんとなく物件を見ている程度」ということであれば仮審査を出しても結局有効期限切れになってしまう可能性があります。仮審査は、「良い物件があれば購入に動きたい」という意思がある程度固まってからおこなっても問題ありません。
また、最終的に本審査に通過するためにも必要なことが、記入を正確におこなうことです。たとえば、仮審査で記入したおおよその年収と、源泉徴収票などの収入確認書類の年収が大幅にずれていると印象は悪くなってしまいます。
事前審査・仮審査で落ちる理由
多くの金融機関では完済時年齢を定めています。また、年収に対し、希望の借入額が高すぎると、返済負担率(年間返済額÷年収)が金融機関の規定を超えてしまい、事前審査・仮審査時点で落ちてしまう可能性があります。
事前審査・仮審査の申し込みに必要な書類
事前審査・仮審査の申し込みに必要な書類は、金融機関によって異なります。金融機関によっては、ほとんどの書類が不要な場合もありますが、一方で事前審査・仮審査時点で、一定の書類を必要としている金融機関もあります。必要書類は、直接金融機関に確認をしておきましょう。
書類の種類 | 具体例 |
---|---|
本人確認書類 | 運転免許証 マイナンバーカード等 |
収入確認書類 | 源泉徴収票 課税証明書等 |
物件確認書類 | 物件資料等 |
返済状況の確認書類 (借り換えの場合) |
返済予定表 返済中の銀行口座のデータ |
転職歴のある人は現在の情報だけでなく、以前の職場の情報も申込書に記載しないといけない場合があります。
事前審査・仮審査の後は本審査!
事前審査・仮審査を通過したら本審査となります。仮審査の時は申込者の自己申告だった情報も、本審査では証明書などを提出しないといけません。
上記の<事前審査・仮審査に必要な書類例>の表に記載の書類が仮審査時点で不要だった場合は、本審査で必要になるので準備しておきましょう。
事前審査・仮審査にどのくらいの時間がかかる?
事前審査や仮審査の結果が分かるまでにかかる時間は、3~4営業日という金融機関が多い傾向です。そのため、土日祝日などを挟んだ場合では、遅くとも1週間程度で結果は判明するでしょう。しかも、郵送で事前審査申込書のやりとりをしていた場合は、さらに時間がかかる可能性があります。
もし、審査結果を急いで知りたい場合は、インターネットで事前審査を申し込める金融機関を探してみるといいかもしれません。
事前審査・仮審査に落ちた場合の対処法
事前審査・仮審査に落ちてしまった場合の対処法は以下のとおりです。
【事前審査・仮審査に落ちてしまった場合の対処法】
- 金融機関を変える
- 借入額を再検討する
- しばらく時間を空ける
審査結果は金融機関によって異なります。1つの金融機関で審査に落ちてしまった場合でも、他の金融機関では審査にとおることがあります。ただ、2~3件の金融機関で事前審査・仮審査に落ちてしまった場合は、プランの練り直しが必要かもしれません。
借入額が多すぎる場合に事前審査・仮審査に落ちてしまうことがあります。金融機関によっては借入希望額の満額回答が難しい場合でも、融資可能額の提示がある場合があります。その場合は、購入予定物件を見直す等の工夫が必要になることもあります。
事前審査・仮審査に落ちた理由が年収や勤続年数の場合は、金融機関からの評価が上がるまで住宅の購入を見送るのも一案です。年収アップや継続的な勤務によって、金融機関からの評価は高まることが期待できます。
住宅ローンの事前審査や仮審査がない金融機関も
一般的な金融機関では、住宅ローン審査の申し込みをすると、まず事前審査や仮審査を受け、通過者だけ本審査に進むことができるというシステムが多い傾向です。しかし、事前審査があると本審査までに何度も書類をやりとりする必要があり、時間も手間もかかるという点はデメリットになります。やりとりに時間がかかると、融資決定・契約までにも時間がかかってしまうことも少なくありません。
ただし、金融機関の中には所定の書類を提出することにより事前審査・仮審査がなく、本審査のみで融資が決定する住宅ローンもあります。この場合、本審査から申し込みできるため審査から融資決定までの時間を大幅に短縮することが可能です。そのため、「本審査結果を早く知りたい」「融資を早くしてほしい」と思う人に向いています。
- 本稿の内容は2020年2月に作成し2023年4月に更新したものです。

えんどう こうじ
- CFP(R)
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
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[2023年8月25日現在]