リフォームを考えたら!住宅ローンの借り換えもチェック
住宅を取得してからある程度の期間が経過すると、床や壁、屋根などいろいろなところの傷み具合が気になってくるかもしれません。その際は、リフォームをすることになりますが、資金をどのように調達するかを考えることが必要です。リフォーム資金は、貯蓄を使うかリフォームローンを利用するのが一般的ですが、実は「住宅ローンに含めて借りる」という方法もあります。この記事では、リフォーム資金の調達方法について解説します。
リフォームローンとは?
リフォームローンとは、その名のとおり、住宅をリフォームするときにかかる資金を借りるためのローン商品です。住宅ローンと同じように”住宅”に関連する金融商品ですが、住宅ローンと比較すると借り入れ条件が異なる点が多々あります。下記にいくつか例を記載します。
【リフォームローンが住宅ローンと異なる点】
- 借入金額の上限が住宅ローンより低い
- 返済期間が6ヵ月~15年程度と、住宅ローンに比べて短い
- 住宅ローンに比べて金利が高い
- 団体信用生命保険(以下、団信)が付いていないローンもある
一言で「リフォーム」といっても、数十万円から数百万円程度の予算で可能な「水回りのリフォーム」や「間取りの変更」程度のものから、1,000万円以上の費用が想定される「大規模なリノベーション」までさまざまです。
「借入額の上限が1,000万円程度」、「融資期間が短い」、「借入金利が高い」、「団体信用生命保険がない」という借入条件のリフォームローンは、大規模なリノベーションの資金ニーズを想定していない設計になっているという印象を受けます。
住宅ローン返済中のリフォーム、住宅ローンはどうする?
居住開始から十数年後にリフォームをする場合、住宅ローンを完済していないケースが多くあります。そのため、住宅ローンを返済しながらのリフォーム工事を行うことになる人も少なくありません。
ただし、住宅ローン契約中のリフォームローンの申し込みでは、他に借り入れがあるとみなされて、新たなローンの審査に通過しにくくなる可能性もあります。
さらに、リフォームローンのみ借り入れができたとしても、そのローンには団体信用生命保険が付加されていないことも考えられます。
実は、「住宅ローンを返済しながらリフォームローンも借りる」という人には、「住宅ローンの残債+リフォーム費用を、住宅ローンの条件で借り換えてしまう」という手があります。
たとえば、SBI新生銀行では、住宅ローンの借り換えとリフォームローンの借り入れを同時におこなうことで、リフォーム資金も住宅ローンの条件で借りることができます。もちろんリフォーム資金の借入部分にも団信が付くので安心です。リフォームローンのみを借りるよりも、住宅ローンにリフォーム資金分を含めて借り換えをした方が、お得になるケースはあります。
借り換えの方がお得になる理由って?
住宅ローンにリフォームローン資金を含めて借り換えをするとお得になる理由は、住宅ローンの方がリフォームローンよりも有利な借入条件になっている傾向があるからです。
下記に、リフォームローンと住宅ローンを別々に借りているケースと、2つのローンを住宅ローンの条件で借りたケースで表を作成しました。
リフォームローン | 住宅ローン | |
---|---|---|
借入上限金額 | 1,000万円 | 3億円 |
金利 | 2.0% | 0.45% |
返済期間 | 10年 | 35年 |
団信 | なし | あり |
リフォーム資金の借入+住宅ローン | |
---|---|
借入上限金額 | リフォーム資金の借入+住宅ローン=3億円 |
金利 | 0.45% |
返済期間 | 35年 |
団信 | あり |
以上のことから、住宅ローンにリフォーム資金の借り入れを含めて借り換えをすると、リフォーム資金の借り入れ部分が、リフォームローンよりも有利になっていることがわかります。メリットをまとめると下記のとおりになります。
【住宅ローンにリフォーム資金の借り入れを含めて借り換えをするメリット】
- リフォーム資金が比較的低金利で借りられる
- リフォーム資金にも団体信用生命保険が付く
- リフォーム資金を長い返済期間で借りられる
続いて上記の内容を解説します。
リフォーム資金が比較的低金利で借りられる
リノベーション(リフォーム)資金を、住宅ローンに含めて借りると、すべて住宅ローンの金利に設定されます。たとえば、2022年12月時点のSBI新生銀行の住宅ローン金利は、「変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>」の例で年0.45%です。他の金融機関では、同月のリフォームローンの金利を、変動金利で年2%程度に設定しているところもあります。リフォーム資金を住宅ローンと同条件で借りられる点が、リフォーム資金を住宅ローンに含めて借りた場合のメリットです。
リフォーム資金にも団体信用生命保険が付く
リフォームローンは、金融機関によっては団信が付帯されていない場合があります。団信は、債務者に万が一が起きたときに、残債が保険金によって完済される保険です。団信が付いていない状態で、債務者に万が一のことが起きると、返済義務は遺族に引き継がれてしまいます。団信の付いていないリフォームローンを借りる際には、団信の代わりに生命保険に加入する方法があります。しかし、別途保険料がかかってしまう点はデメリットです。リフォーム資金を住宅ローンに含めて借り換えをすることで、ローン全体に団信が付帯されるので、安心かつ経済的です。
リフォーム資金を長い返済期間で借りられる
先述のとおり、リフォームローンの最長の返済期間は、一般的に住宅ローンほどは長く設定されていません。リフォーム用の資金を住宅ローンに含めて借りることができるケースでは、返済期間を住宅ローンと同じにできます。
住宅ローンにリフォーム資金分を上乗せして借り換える条件とは?
住宅ローンにリフォーム資金を含めて借り換えるための条件は、金融機関によって異なります。そもそも、リフォーム資金を住宅ローンに含められない金融機関もあります。
たとえば、SBI新生銀行では、住宅ローンにリフォームローンを上乗せする条件を下記のとおりとしています。
【SBI新生銀行で住宅ローンにリフォーム資金の借り入れ分を上乗せする条件】
- リフォーム資金の借り入れを住宅ローンと同時に申し込むこと
- 購入または居住中の物件に対するリフォーム資金の借り入れであること
- リフォーム資金と住宅ローンの融資実行日が同日であること
たとえば、「他の金融機関で住宅ローンを借りている状態で、リフォーム資金だけをSBI新生銀行で借りる」というケースは、対象外になります。
大規模リフォームの場合は住宅ローンを使える場合も
購入から何十年も経過している住宅の場合、部分的リフォームではなく大規模リフォームが必要になるかもしれません。大規模リフォームでは、費用も高額になることが予想されます。そのときは、住宅ローンという形態での借り入れができる金融機関も検討材料の一つになります。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンであれば、返済までの期間も最長35年までと長期間です。また、団体信用生命保険も付いています。
- 既存の住宅ローンの残債がある場合は借り換えが必要な場合があります。
借り換え後は住宅ローン控除額の計算方法が変わる
住宅ローン控除は、年末の住宅ローン借入残高に一定の控除率をかけることで出た金額を所得税(所得税から引ききれなかった場合は住民税)から控除できる税額控除の制度です。控除率をかける年末の借入残高には、居住年と物件の性能等ごとに定められた上限があります。
住宅ローン控除は、一定の要件を満たせば借り換えをしても継続できます。ただ、住宅ローン控除は購入した自宅に居住した年を起点として適用期間を計算するため、借り換えても延長されるわけではありません。借り換え後でも住宅ローン控除の継続が認められるための要件は以下のとおりです。
【借り換え後も住宅ローン控除を継続できる要件】
- 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものである
- 新しい住宅ローン等が返済期間10年以上などの控除を受けるための要件を満たしている
また、借り換えによって借入残高が変化した場合には、下記の計算式に基づいて計算した借入残高に控除率を乗じて、実際の税額控除額を計算します。
【借り換え後の年末残高の計算方法】
- 借り換え前の住宅ローン残高
- 借り換えした新しい住宅ローン金額
- 新しい住宅ローンの年末残高
- 住宅ローン控除対象の年末住宅ローン残高
AがB以上の場合、D=C
AがB未満の場合、D=C×A/B
この計算式からいえることは、リフォーム資金を含めて住宅ローンを借り換えると、かなり借入金額が増加しますが、住宅ローン控除の対象額が増加するわけではないということです。そもそもリフォーム資金を含めて借り換えた住宅ローンが、住宅ローン控除の対象として認められるか否かは、税務署に確認をしておくことが必要です。リフォーム資金を含めて借り換えることで、元々の住宅ローンとは別物になってしまっている感があるからです。
ちなみに、リフォーム資金の借り入れと住宅ローンが別々の契約であれば、借り換え後の住宅ローンが当初の住宅ローンの返済のためのものであることが明確になります。
さらに一点補足をします。リフォーム資金の借り入れと住宅ローンが別々の契約であれば、リフォーム資金の借り入れについては、一定の要件を満たすことで増改築の借り入れに適用される住宅ローン控除の対象になる可能性があります。しかし、住宅ローン控除が重複適用になる場合でも、控除の上限額は決まっているため、控除額が単純に2階建になるわけではない点には注意が必要です。住宅ローン控除の適用については個別のケースで結論が異なるため、税理士、税務署にご相談ください。
住宅ローン+リフォーム資金の借り換えで注意すべき点
一言で「住宅ローンにリフォーム資金を含めて借り換えができる」といっても、ローン契約が1本なのか、住宅ローンとリフォーム資金の借り入れが別々で合計2本なのかによって費用が異なります。
定率型の事務手数料体系であれば、借入額に対して事務手数料がかかるため、契約本数が多いからといって事務手数料が増えるわけではありません。一方、定額型の事務手数料の場合は、契約本数が増えることで事務手数料も増えるのかどうかを確認しておきましょう。本記事で取り上げたようなリフォーム資金の借り入れを含めて住宅ローンを借り換えるケースでは、仮にリフォーム資金の借り入れと住宅ローンで契約を2本に分けた場合でも、金融機関側の配慮で事務手数料は1本分で済む場合があります。
一方で、契約本数が増加することで抵当権の設定にかかる費用は、増加する可能性が高いと思われます。司法書士費用などの登記関連費用は、金融機関の判断で割り引けるわけではないからです。
どのような契約形態であれ、住宅ローンにリフォーム資金を上乗せすると、返済額が増加することはいうまでもありません。返済計画に不安がある人は、金融機関の相談サービスを利用してみることをおすすめします。
SBI新生銀行では便利なシミュレーションツールをご用意しております。
- 本稿の内容は2020年2月に作成し2022年12月に更新したものです。
- 新生銀行は2023年1月4日に行名を「SBI新生銀行」に変更しており、変更後の名称で記載しています。
- CFPR
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。
本稿は、執筆者が制作したもので、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。
- 本資料は情報提供を目的としたものであり、SBI新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。
- 金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
- 上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性をSBI新生銀行が保証するものではありません。
当行では具体的な税額の計算、および、税務申告書類作成にかかる相談業務はおこなっておりません。個別の取り扱いについては、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご確認ください。
新着記事
閲覧が多い記事
おすすめ記事
マイページへ登録済みの方は
こちら
お問い合わせ
ビデオ通話などでの相談をご希望なら
住宅ローン相談住宅ローン
パワースマート住宅ローンについて
- 借入期間は5年以上35年以内(1年単位)、借入金額は500万円以上3億円以下(10万円単位)です。
- 変動金利(半年型)、当初固定金利をご選択された方は、当初借入金利適用期間終了後、ご契約時の事務手数料に応じた変動金利(半年型)が自動適用となります。
- 変動金利(半年型)、当初固定金利を利用されている方は、金利変更時に当初固定金利タイプをご選択いただくことも可能です。ご選択にあたっては、手数料5,500円(消費税込み)がかかります。
- 各金利タイプは、金利情勢等により、やむを得ずお取り扱いを中止する場合もございます。
- SBI新生銀行ウェブサイトにて、借入金額や借入期間に応じた毎月の返済額を試算できます。
- 事務手数料は、定額型をご選択された場合55,000円(消費税込み)、定率型をご選択された場合、借入金額に対して2.2%(消費税込み)を乗じた金額となります。それ以外に抵当権設定登録免許税、印紙税*、司法書士報酬、火災保険料等がかかります。*電子契約サービスをご利用の場合、印紙税は不要ですが、別途電子契約利用手数料5,500円(消費税込み)がかかります。
- ご融資の対象物件となる土地、建物に、当行を第一順位の抵当権者とする抵当権を設定いただきます。
- パワーコール<住宅ローン専用>、SBI新生銀行ウェブサイトにて商品説明書をご用意しています。
- 当行の住宅ローンを既にご利用中のお客さまにつきましては、当行で借り換えをすることができません。
- 住宅ローンのご融資には当行所定の審査がございます。審査結果によっては、表示金利に年0.10%~年0.15%上乗せになる場合がございます。ご希望にそえない場合もございますので、あらかじめご了承ください。
[2024年1月22日現在]