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住宅ローンのがん団信は必要?一般的ながん保険と比較して解説

更新日:2025年12月

住宅を購入する人の多くは「住宅ローンを最後まで完済できるか」という不安を抱えています。特に、住宅ローンの借り入れ後に病気になって働けなくなってしまうことを想像すると、さらに心配になるものです。

一般的に、民間の金融機関で提供されている住宅ローンには「団体信用生命保険(以下、団信)」が付いており、債務者が死亡または高度障害になった際に、住宅ローンが完済される仕組みになっています。しかし、通常の団信では、がんにかかっただけでは保障の対象にならないため、がん治療によって働けなくなったケースや、治療後に収入が減ったケースには対応できません。

こうしたリスクに備えて、多くの金融機関が「がん団信」などと呼ばれる疾病保障付きの団信を提供しています。この記事ではがん団信の仕組みやメリット・デメリットなどについて解説します。

住宅ローンのがん団信とは?

「がん団信」とは、一般的な死亡・高度障害の保障に加えて、がんと診断された時点で住宅ローンの残高がゼロになる特約が付いた団体信用生命保険を指します。金融機関によっては、残高の50%が免除されるタイプなど、保障範囲が異なる商品もあります。

民間の金融機関で提供される住宅ローンでは、団信への加入が原則として必須ですが、がん団信はオプション扱いのため、加入しなくても住宅ローンを借りることは可能です。そのため、「がん団信をつけるべきかどうか」で悩む人も少なくありません。

ただ、国立がん研究センターの2021年のデータによると、日本人が一生のうちでがんと診断される確率は、男性で約63%、女性で約51%とされています。年齢とともにリスクが高まることを考えると、がん団信は「もしものときに住宅を守る」ための安心材料として、現実的な選択といえるでしょう。
(出典:国立がん研究センター)

団信の基本的な仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

がん団信の加入条件

がん団信に加入できるのは、住宅ローンを新規で借りる人、または既存ローンを借り換える人に限られます。返済中のローンに途中からがん保障を追加することはできません。

また、保険会社による審査に通過することも条件です。金融機関ごとに細かな基準は異なりますが、「加入時の年齢が50歳まで」などと定められているケースもあります。加入を検討する際は、年齢や健康状態など、事前に条件をよく確認しておくことが大切です。

がん団信に必要な審査のポイント

がん団信は生命保険の一種であるため、加入には健康状態に問題がないことが前提です。申し込み時に健康上の不安がある場合や、過去にがんを患ったことがある場合は、リスクが高いと判断され、加入を断られることもあります。

ただし、一度がん団信に加入すれば、その後に体調を崩しても保障が打ち切られることはありません。将来の安心を得るためにも、健康なうちに申し込んでおくのがおすすめです。

がん団信の保険料の負担

一般的な団信の保険料は住宅ローン金利に含まれており、別途保険料を支払う必要はありません。一方、がん団信は特約扱いとなることから、住宅ローン金利に上乗せされる形で債務者本人が負担します。

なお、一部の金融機関では、金利の上乗せなしでがん保障が付くケースもあります。ただ、「がん診断時に残債の一部のみが免除される」など、保障内容が限定されることもあるため、よく比較検討することが大切です。

住宅ローンのがん団信のメリット

一般的な団信に付帯している「高度障害」とは、両目の視力を失う、言葉を話せなくなる、手足の機能を失うなど、日常生活に常時介助が必要な重度の状態を指します。「怪我や病気で軽い後遺症が残った」といった程度では高度障害には該当しません。

一般の団信ではカバーできない「がんによる経済的リスク」にも対応できる点が、がん団信の大きな特徴といえるでしょう。ここでは、がん団信の主なメリットを紹介します。

金銭的・精神的負担の軽減

がん団信のメリットは、がんと診断されただけで残債が保険金で完済されることです。例えば、5,000万円の残債がある状態でがんと診断されたら、5,000万円分のローン返済が不要になります。

これにより、治療中に住宅ローンの返済を気にする必要がなくなり、金銭的にも精神的にも大きな安心を得られます。返済の心配から解放されることで、治療に専念できる環境を整えられる点が魅力です。

がん保険よりも高額な保障を効率的に確保できる

がん団信は、金利上乗せによって月々の返済額がわずかに増えるものの、保障額が住宅ローン残高と連動しているため、数千万円単位のローン残高が免除されるケースも珍しくありません。

一方、一般的ながん保険は保障期間が一生涯のものが多く、同水準の保障額を確保するには相応の保険料が必要です。

つまり、がん団信は「住宅ローンの返済が続く期間だけ手厚く備えたい」という人に向いた、仕組み上“定期型”に近い保険といえます。必要な時期に必要な金額の保障を持てるという点で、コスパの高い選択肢です。

病気や怪我の場合でも給付金が受けられることがある

金融機関によっては、がんの保障に加えて、病気や怪我で一時的に働けなくなった場合に給付金を受け取れる団信を用意していることもあります。例えば、入院が一定期間(例:31日以上)続いた際に、住宅ローンの返済額に相当する金額を毎月受け取れる保障が付いたものなどがあります。

また、がんに加えて急性心筋梗塞や脳卒中のリスクにも備えられる「三大疾病保障付き団信」や、糖尿病や高血圧性疾患などにも備えられる「生活習慣病団信」が用意されていることもあります。

こうしたがん以外の怪我や病気にも備えられる保障が充実しているかどうかも、ローンを選ぶ際にチェックしておきたいポイントです。

適用基準が明確でわかりやすい

がん団信は、がんの進行度や治療内容にかかわらず、「がんと診断された時点」で保障の対象となります。条件が明確で判断しやすく、いざというときに確実に保障を受けられる安心感があります。

一方、生活習慣病団信などの他の団信では入院日数や症状の程度によっては支払われない場合もあるため、がん団信はよりシンプルで使いやすい仕組みといえるでしょう。

住宅ローンのがん団信のデメリット

一方で、がん団信には注意しておきたい点もあります。金利や保障内容の制約を理解した上で、自分に合うかを見極めることが大切です。

金利が上乗せされるため月々の負担額が増える

がん団信の最も大きなデメリットは、住宅ローンの金利が上がってしまうことです。例えば、SBI新生銀行ではがん団信を選択すると、住宅ローンの金利が一般団信よりも年0.1%金利が上乗せになります。金利の上乗せがない金融機関であっても、もともとの金利設定が高い可能性もあるため、トータルの金利負担で比較することが大切です。

年0.1%の金利上乗せがどれほど返済額に影響するかを見るために、下記表を作成しました。

【一般団信とがん団信の返済額の比較】
団信の種類 一般団信 がん団信
借入金額 3,000万円
借入期間 35年
返済方法 元利均等返済
借入金利(変動金利) 0.65% 0.75%
毎月返済額 79,880円 81,235円
総返済額 33,565,745円 34,137,901円

(出所)SBI新生銀行ウェブサイトの住宅ローンシミュレーションを使用し2025年10月筆者作成

年0.1%の金利で増加する返済額は、3,000万円の借り入れ、35年ローンで月1,355円、35年間の総返済額の差は572,156円です。がん団信で得られる保障の価値と返済額の増加分を比較して、検討することが大切です。

契約後に内容を変更できない

がん団信の注意点のひとつは、いったん契約すると保障内容を途中で変更できないことです。返済が終わるまでその保障内容と金利上乗せが続くため、「住宅ローンの返済を少しでも軽くしたい」と思っても、途中で特約だけを外すことはできません。

また、加入後に新たな特約を追加したり、別の保障タイプへ切り替えたりすることも基本的にはできません。将来的に住宅ローンの借り換えを行う場合は、そのタイミングで新しい団信へ加入し直すことが可能です。

保障されない期間やがんがある

がん団信は、契約直後からすぐに保障が受けられるわけではなく、「免責期間」と呼ばれる待機期間が設けられているのが一般的です。多くの場合、契約日から90日以内にがんと診断された場合は、保障の対象外となります。

また、治癒の見込みが高いとされる「上皮内がん」など、一部のがんは保障の対象外となるケースが一般的です。「思っていた保障内容と違う」といった事態にならないよう、契約前に免責期間や保障内容をよく理解しておくことが大切です。

生命保険料控除の対象にはならない

がん団信の保障にかかる保険料は、住宅ローンの金利に上乗せされる形で支払います。そのため、一般の生命保険や医療保険のように「生命保険料控除」の対象にはなりません。

見かけ上は保険の仕組みを利用しているように思えても、実際には住宅ローンの金利に含まれているため、確定申告や年末調整で控除を受けることはできません。

住宅ローンのがん団信と一般的ながん保険の違い

住宅ローンのがん団信と一般的ながん保険はいずれも「がんに備える保険」ですが、目的や保障の範囲には大きな違いがあります。主な相違点を次の表にまとめました。

【住宅ローンのがん団信と一般的ながん保険の違い】

がん団信 がん保険
保障内容 住宅ローン残高の返済が免除される がんの治療費や生活費を補填するための給付金が支払われる
保険料の支払い方法 住宅ローン金利に上乗せされる 月払いや年払いなどで個別に支払う
途中解約・変更 できない 保障内容を変更できる場合が多い
税制上の扱い 生命保険料控除の対象外 生命保険料控除の対象になる
がん団信 がん保険
保障内容
住宅ローン残高の返済が免除される がんの治療費や生活費を補填するための給付金が支払われる
保険料の支払い方法
住宅ローン金利に上乗せされる 月払いや年払いなどで個別に支払う
途中解約・変更
できない 保障内容を変更できる場合が多い
税制上の扱い
生命保険料控除の対象外 生命保険料控除の対象になる

がん団信は、がんと診断されると住宅ローンの返済に悩む必要がなくなるため、返済が滞って持ち家を失うリスクを回避しやすくなります。ただ、住宅ローンの残高がなくなれば保障も終了する仕組みであり、治療費や生活費をカバーできるとは断定できません。必要に応じて、がん団信と一般のがん保険を併用すると安心です。

統計データで見る住宅ローン返済中の死亡リスクとがん罹患リスク

住宅ローンの返済中に自身が他界するケースは、現実的には想像しにくいものです。実際、厚生労働省の「令和6年簡易生命表」を見ると、65歳まで生きる人の割合は男性で89.6%、女性で約94.4%とあり、若くして亡くなる方は少数派であることが分かります。
(出典:厚生労働省 令和6年簡易生命表)
(出典:生命表上の特定年齢まで生存する者の割合の年次推移)

しかし、がんは年齢に関係なく発症する可能性があり、人間ドックなどで偶然見つかることも珍しくありません。公益財団法人がん研究振興財団の「ガン統計2025」によると、69歳までの罹患リスクは男性が19.8%、女性が20.1%と、男女ともに約2割に及びます。
(出典:公益財団法人がん研究振興財団「ガン統計2025」)

住宅ローンのがん団信への加入に迷った際は、金融機関に相談しよう

がんは治療のために収入が減るケースもあります。がん団信は、そうした「もしも」のときに住宅ローンの返済負担を軽くできる制度です。がん団信の有無によって適用金利が変わることも多いため、総返済額がどのくらい増減するのか、その安心に見合う保障かどうかを比較して判断することが大切です。加入を迷うときは、金融機関の担当者に相談しながら検討してみるとよいでしょう。

記事のおさらい

住宅ローンのがん団信は必要?

がん団信は、がんと診断された時点で住宅ローン残高が免除される特約付き団信です。日本人の高いがん罹患率(男性約63%、女性約51%)に備え、金銭的・精神的負担を軽減し、治療に専念できる環境を整える安心材料として現実的な選択肢です。ただし、金利上乗せによる負担増も考慮が必要です。

がん団信とがん保険の違いとは?

がん団信は、がんと診断された際の住宅ローン残高の免除が目的で、保険料は金利に上乗せされ、生命保険料控除の対象外です。一方、一般的ながん保険は治療費や生活費の補填が目的で、保険料を個別に支払い、控除の対象となります。両者の保障目的は異なります。

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  • 本稿は2023年2月に作成し、2025年11月の情報を基に更新したものです。
執筆者
張替様

張替 愛

はりかえ あい

  • AFP
  • 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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本稿は、執筆者が制作したもので、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。

  • 本資料は情報提供を目的としたものであり、SBI新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。
  • 金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • 上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性をSBI新生銀行が保証するものではありません。

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[2025年11月17日現在]