住宅資金贈与は非課税にできる?住宅ローン控除も併せて解説
「親や祖父母から住宅資金を援助してもらえそうだけれど、贈与税はかかるのだろうか」という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。住宅取得のための資金援助はありがたいものですが、贈与税の課税や住宅ローン控除への影響が気になるところです。この記事では、住宅資金の贈与が非課税になる制度の内容と要件、利用する前に確認しておきたい注意点、住宅ローン控除との併用について解説します。
住宅資金の贈与は非課税にできる?
結論からいえば、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得のための資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たせば「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」により、省エネ等住宅で1,000万円まで、それ以外の住宅で500万円までの贈与税が非課税になります。この措置の適用期限は2026年(令和8年)12月31日までの贈与です(適用期限:2026年12月31日まで。2026年8月時点。延長の有無は国税庁のホームページでご確認ください)。
非課税限度額は、取得する住宅の性能によって次のように異なります。
| 贈与の時期 | 省エネ等住宅 | それ以外の住宅 |
|---|---|---|
| 2024年1月1日~2026年12月31日 | 1,000万円 | 500万円 |
(出典)国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」(参照日:2026年8月3日)
省エネ等住宅とは、省エネルギー性能・耐震性能・バリアフリー性能のいずれかの基準に適合する住宅用の家屋であることが、住宅性能証明書など一定の書類により証明されたものをいいます。新築の場合は断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上(2023年(令和5年)末までに建築承認を受けた住宅、または2024年(令和6年)6月末までに建築された住宅は、断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上)などの基準が定められています(出典:同上)。
なお、期限が近づいてから贈与を受けると、後述する「翌年3月15日までの取得・居住」の要件を満たせないおそれがあります。利用を検討している方は、早めに家族で話し合っておきましょう。
非課税の適用を受けるための主な要件
非課税措置の適用を受けるには、贈与を受ける人(受贈者)と取得する住宅の両方について要件を満たす必要があります。主な要件は次のとおりです。
贈与を受ける人の主な要件
- 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(子や孫など)であること。配偶者の父母または祖父母からの贈与は対象外ですが、養子縁組をしている場合は対象になります
- 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であること
- 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること(取得する住宅の床面積が40m2以上50m2未満の場合は1,000万円以下)
- 2009年(平成21年)分から2023年(令和5年)分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税(旧非課税制度)」の適用を受けたことがないこと。災害等に関する税制上の措置など、一定の場合を除きます
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与された資金の全額を充てて住宅の新築・取得または増改築等をすること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅に居住すること、または同日後遅滞なく居住することが確実であると見込まれること
(出典)国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」 (参照日:2026年8月3日)
住宅の主な要件(新築または取得の場合)
- 登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40m2以上240m2以下で、床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること
- 中古住宅の場合は、1982年(昭和57年)1月1日以後に建築されたもの、または地震に対する安全性に係る基準に適合することが一定の書類により証明されたものであること
- 中古住宅の場合で、上記の条件を満たさない場合、取得の日までに耐震改修を行うことについて都道府県知事などに申請し、かつ贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修により地震に対する安全性に係る基準に適合することが所定の書類により証明されたものであること
住宅の主な要件(増改築等の場合)
- 登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40m2以上240m2以下で、床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること
- 増改築等に係る工事が、受贈者が所有かつ居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて一定の書類により証明されたものであること
- 増改築等に係る工事に要した費用の額が100万円以上であり、その2分の1以上が受贈者の居住の用に供される部分の工事に要したものであること
なお、祖父と父など複数の人から贈与を受けた場合でも、贈与者ごとに非課税枠があるわけではなく、非課税限度額は受贈者1人につき1,000万円(省エネ等住宅以外は500万円)までとされています。
要件は細かく定められており、一つでも満たさないと非課税措置は受けられません。ご自身のケースが当てはまるかどうか、国税庁のホームページなどで事前に確認しておくことが大切です。
利用する前にチェックしたい注意点
非課税措置を利用する前に、特につまずきやすい注意点を確認しておきましょう。
贈与を受けるタイミングに気を付ける
非課税措置の対象になるのは、住宅の新築・取得または増改築等の「対価に充てるため」に受けた資金の贈与です。贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その全額を対価に充てる必要があります。例えば、頭金として使う予定の資金は、売買契約や代金支払いのスケジュールから逆算して贈与の時期を決めるとよいでしょう。一方、すでに居住している住宅のローンを返済するために受けた金銭の贈与は、非課税措置の対象外とされています。
なお、繰上返済そのものの効果や注意点は、以下の記事 で詳しく解説しています。
非課税でも贈与税の申告が必要
非課税措置の適用を受けるには、納税額が0円であっても、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告をする必要があります。申告書には、戸籍の謄本や新築・取得の契約書の写しなど一定の書類を添付します(出典:同上)。申告を忘れると非課税措置を受けられないおそれがあるため、スケジュールに余裕を持って準備しましょう。住宅ローン控除の確定申告と時期が重なるため、あわせて準備しておくと効率的です。確定申告の流れは以下の記事で 詳しく解説しています。
住宅ローン控除との併用はできる?
非課税措置と住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は併用できます。ただし、住宅ローン控除の控除額の計算に影響する場合がある点には注意が必要です。
住宅ローン控除は、次の2つのうち少ない金額を基に控除額を計算します。
- 住宅ローンの年末残高
- 住宅の取得対価の額
このとき、非課税措置の適用を受けた贈与額は、取得対価の額から差し引くこととされています。
【前提条件】住宅の取得対価6,000万円、非課税措置を適用した贈与額1,000万円、住宅ローンの年末残高5,500万円の場合(筆者試算)
- 取得対価の額:6,000万円-1,000万円=5,000万円
- 住宅ローンの年末残高5,500万円>5,000万円のため、控除額の計算の基になるのは5,000万円
このように、住宅ローン控除が使えなくなるわけではありませんが、贈与額によっては控除額が変わる可能性があります。資金計画を立てる際は、贈与額と借入額のバランスも考えておきたいところです。
なお、住宅ローン控除は2026年度(令和8年度)税制改正で適用期限が5年延長され、入居日が2026年(令和8年)1月1日から2030年(令和12年)12月31日までの場合が対象とされています(適用期限:2030年12月31日入居分まで。2026年8月時点。最新の制度内容は国土交通省・国税庁のホームページでご確認ください)。控除率や借入限度額などの適用要件は、住宅の性能や入居年によって異なります。
非課税限度額を超える部分はどうなる?
非課税限度額を超える贈与を受けた場合、その超える部分については、次の2つの制度のどちらかを選択して贈与税を計算します。
| 項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 非課税となる枠 | 受贈者ごとに年間110万円の基礎控除 | 贈与者ごとに累計2,500万円の特別控除+年間110万円の基礎控除 |
| 税率 | 基礎控除後の金額に累進税率 | 控除後の金額に一律20% |
| 相続時の扱い | 一定の生前贈与は相続財産に加算される場合あり | 適用財産は相続財産に加算して精算(年間110万円の基礎控除分は加算されない) |
(出典)国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」(参照日:2026年8月3日)
相続時精算課税は、贈与者が亡くなった時に、贈与財産と相続財産を合計して相続税として精算する制度です。通常は60歳以上の父母または祖父母からの贈与が対象ですが、住宅取得等資金の贈与については、2026年(令和8年)12月31日までの贈与に限り、贈与者が60歳未満であっても相続時精算課税を選択できる特例があります(適用期限:2026年12月31日まで。2026年8月時点。延長の有無は国税庁のホームページでご確認ください)。
ただし、相続時精算課税を一度選択すると、同じ贈与者からの贈与について暦年課税へ戻すことはできません。どちらの制度が適しているかは、将来の相続まで含めた検討が必要です。具体的な税額の計算や適用可否の判定は、所轄の税務署または税理士へご確認ください。
記事のおさらい
最後に、この記事の要点をQ&A形式で振り返ります。
住宅資金の贈与はいくらまで非課税にできる?
父母や祖父母などの直系尊属からの住宅取得資金の贈与であれば、2026年12月31日までの贈与について、省エネ等住宅で1,000万円まで、それ以外の住宅で500万円までが非課税になります。年齢や所得、床面積などの要件を満たした上で、期限内の贈与税の申告が必要です。
非課税の贈与を受けると住宅ローン控除は使えなくなる?
使えなくなることはありません。ただし、住宅ローン控除の計算で使う住宅の取得対価の額から、非課税措置を適用した贈与額が差し引かれるため、贈与額と借入額によっては控除額が変わる可能性があります。
非課税限度額を超えた分はどうすればよい?
超えた部分は、暦年課税(年間110万円の基礎控除)か相続時精算課税(累計2,500万円の特別控除+年間110万円の基礎控除)のどちらかを選択して贈与税を計算します。相続時精算課税は一度選択すると暦年課税に戻せないため、慎重に検討しましょう。
- 本稿の内容は2026年8月3日時点の情報に基づきます。
わかやま たくや
- AFP(日本FP協会認定)
- 証券外務員一種(日本証券業協会)
- 資産形成コンサルタント(日本証券アナリスト協会)
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[2025年11月17日現在]












